全国不動産総合ガイド

表現には時代の流れと連動

2011.11.11

私はつねづね、建築に限らずさまざまな表現には、必ずや時代の流れと連動するものがあると考えてきた。中でも建築は、他の表現と較べても、社会の動向を強く反映する分野である。建築はつねにその時代時代の技術の粋を集めたものであるし、市場経済の動向にもたいへん敏感に反応する。また不特定多数の人々が関与するのも、建築の大きな特徴の一つである。建築は時代の気分を敏感に映し出す。だからこそ私は、それぞれに異なるキーワード(流行語)を与え、それぞれに個別な建築批評を試みたわけだが、それらをいままとめて読み直してみると、そうした個々のキーワードとは別個に、さらにそれらを大きく包み込むような「何か」があることに気づく。

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すなわちここしばらくの時代の流れを指し示すような、より包括的な「キーワード」が潜んでいるということである。それはもはや単なる「キーワード」というよりも、「時代のある種の気分」とでも形容したくなるものである。口々、社会の現象面の動いていく中で、その根底に流れる「何か」がある。あるいはその「何か」をわかりやすく、時代の抱える「欲望」と言い換えてもいいだろう。そしてそれを考えてみることで、ここで取り上げた現代建築が、どうしてそのような表現になるに至ったか、あるいはそうした表現が、根底的に訴えかけているものは何なのかが、より鮮明に理解できるように思われる。それにしても「時代のある種の気分」とはいったい何か。具体的に考えてみなければならないのだが、そのためには、用語が生まれ、これらの現代建築がつくられていった「一九九〇年代」について再検討してみる必要かあるだろう。