勉強を中心に生活が組みたてられている人間にとっては、クーラーは心地よさというよりも、三カ月という時間を新たに生みだす道具なので、これは原稿を書いている時のぼくにもある程度あてはまる考え方だ。しかし、ぼくは「窓をなくし、四面を作りつけの書棚にして、出入口をドア一枚だけ残した部屋」に一日中閉じ籠って勉強に専念するほど禁欲的な人間ではないので、クーラーの恩恵に対するぼくの感謝度も、それなりに割引されてくる。
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ぼくは書斎でも、夏はTシャツとショート・パンツで過ごしているので、それほど温度が下がらなくてもよい。ぼくが執筆中にパイプをふかすためもあって、冷房中でも部屋全体を閉めきっておくことはなく、出入口の扉は閉めても、外部に面する窓は細目にあけて、適当に換気している。これは厨房と同じような状況で、冷房の利き方もあまり良くないのだが、こうして冷気のゆるやかな流れを感じ、窓外から樹々のざわめきや車の走る音や、近所の子どもの叫び声がなんとなく聞こえてくるぐらいが、ぼくにとってちょうど良い環境なのだ。